【福祉の豆知識シリーズ】
補助金申請ノウハウ編
②申請が通る法人・通らない法人の違い
補助金や助成金の申請で「同じような内容を書いたのに、通らなかった…」という声をよく聞きます。
実は、採択の差は“書類の上手さ”ではなく、“法人の姿勢”にあります。
本記事では、通る法人と通らない法人の違いを3つのポイントから解説します。
① 理念が事業計画と「つながっている」か
補助金申請書の“第一印象”を決めるのは、「なぜこの事業を行うのか」という明確な目的です。
審査官は、単なる設備投資や人材確保のための支援を望んでいるわけではありません。
その事業が法人の理念や地域への貢献とどうつながっているかを重視しています。
たとえば、
「地域で暮らし続けるための支援体制を整えたい」
「職員が長く働ける環境を作りたい」
といった理念を、計画書の冒頭で明確に打ち出している法人は非常に強いです。
“理念が事業を動かす”構造があるかどうかが、採択率を左右します。
② 書類の一貫性(整合性・数字・根拠)
次に重要なのは、「書いてあることが整っているか」です。
事業計画、経費明細、見積書などが矛盾していると、信頼性が一気に下がります。
例えば・・・
- 目標人数と事業内容の整合が取れていない
- 経費の算出根拠が不明確
- 成果指標が抽象的
こうした“ちぐはぐさ”は、審査の現場で最も目につくポイントです。
逆に、数字・根拠・目的が一直線につながっている書類は、それだけで法人の管理能力が伝わります。
書類づくりの基本は「一貫性」です。
見た目の体裁よりも、内容の整合性を磨くことが採択への近道です。
③ 経営体制の明確さ(役割・責任・継続性)
補助金は「お金をもらって終わり」ではなく、「事業を実現して成果を出す」ことが前提です。
そのため、「誰が」「どのように」「どこまで責任を持って進めるのか」が明確な法人は評価が高い傾向にあります。
特に、
- 事業責任者・実務担当者の明記
- 実施スケジュールの明確化
- 補助金終了後の“継続方針”
この3点が整っていると、審査側は「この法人なら安心して任せられる」と判断します。
採択の背景には、“信頼できる運営体制”があるかどうかが大きく関わっています。
④ 通らない法人に共通する“惜しい点”
一方で、通らない法人の申請には、次のような傾向が見られます。
- 理念や目的が抽象的(「利用者のために」だけで終わっている)
- 事業内容と経費の根拠が結びついていない
- 継続性の説明がなく、「補助金がないとできない」印象を与えている
いずれも、「なぜこの法人がやるのか」という説得力が弱いケースです。
事業を通して何を変えたいのかを、理念と数字の両面から語ることが大切です。
⑤ まとめ:「書類」よりも「姿勢」
審査官が見ているのは、書類の完成度よりも“法人の姿勢”です。
理念と計画、計画と数字、数字と体制——この3本の線が一本でつながっていれば、自然と採択率は上がります。
「申請のテクニック」よりも「準備の深さ」
それが、補助金採択への最短ルートです。
